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電波吸収体等の解説

電波吸収体とは

電波抑制材とは

電波暗室とは

電波暗箱とは

シールドルームとは

シールドボックスとは

電波吸収体

電波吸収体とは電磁波エネルギーを熱エネルギーに変換するものです。
電磁波が電波吸収体内に入射して電波吸収材料で熱エネルギー変換していきます。
電波吸収体の材料となるものとして、抵抗性、誘電性、磁性の3種類の吸収材料があげられます。

抵抗性吸収材料:抵抗皮膜等による電気的抵抗により熱エネルギー変換
誘電性吸収材料:誘電体+抵抗粒子による電気的抵抗により熱エネルギー変換
磁性吸収材:フェライト材料による電気的抵抗により熱エネルギー変換

■用途・使用場所
電波(電磁波)反射を軽減させる為に使用する電波吸収材で、壁面からの反射、障害物からの反射、等、反射してくる電波があると好ましくない環境に使用されます。

例えば、電波暗室、ETC、RFID(UHF帯)などがあります。

・電波暗室はオープンサイトの電波環境を模擬する為に造られており、用途に応じて、5面電波吸収体と6面電波吸収体タイプがあります。

試験品から放射された電波強度などを測定する試験を実施した場合、電波暗室の壁面の電波吸収が十分でなければ反射してくる電波強度も測定した値の中に含まれ、測定誤差の要因の一つになってしまいます。それらを改善する為に使用されます。

・ETCはゲート上部のETCアンテナと車両に搭載されているETCアンテナとの間で電波の無線通信が行われ、車載に搭載されているETCの情報を読み取っています。

周囲の構造物(特に金属構造物)の影響により通信電波の反射が起こり、ゲート上部アンテナからの通信は目的とする車両以外の車両と通信してしまったりして通信エラーが発生する場合があります。それらを改善する為に使用されます。

・RFIDは固定機器側(読み取り装置側)とRFIDタグとの間で無線通信を行い、RFIDタグの情報を読み取り識別を行っています。周囲の構造物(特に金属構造物)の影響により通信電波の反射が起こり、固定機器側アンテナからの通信が目的とするRFIDタグ以外のタグと通信してしまったりして選別ミスが発生する場合があります。それらを改善する為に使用されます。

電波抑制材

電波吸収材とは電波吸収体と同様、電磁波エネルギーを熱エネルギーに変換するものです。
電波吸収材料としてはシリコン樹脂の中にフェライト粉末を混ぜ合わせた磁性損失吸収材が主流となっています。

■用途・使用場所
不要輻射された電波(電磁波)を吸収する目的で使用されます。
電気・電子回路から発せられた電磁波を吸収し不要輻射を軽減させる事に使用しています。

とくに近傍界の電磁波ノイズの除去対策に使用し、狭いスペースに使用する場合が多い為、薄型が要求されます。

電波暗室

電波暗室とは、室内壁面に電波吸収体を貼り付けた部屋であり、室内の電波(電磁波)反射を軽減させた空間を造りだしている部屋です。
大きく分けて2種類の電波暗室があります。

①EMC用電波暗室
床面を除いた5面壁に電波吸収体を貼付けた電波暗室です。
電子機器製品のノイズ測定などに使用されます。
電子機器から放射されるノイズ測定、また、電子機器に妨害を与えた時の性能確認に使用されます。

②自由空間用電波暗室
室内6面に電波吸収体を貼り付けた電波暗室で自由空間状態を造りだす為の部屋です。
アンテナパターン等のアンテナ特性の試験に使用されます。

電波暗箱

電波暗箱とは、電波暗室の小型版であり、EMC等の規格認定試験用ではなく、簡易測定用として、主に小型商品を試験する為のものです。
電波暗室と同じで①EMC用電波暗室、②自由空間用電波暗室の2種類あります。

シールドルーム

シールドルームとは、室外からの電波の侵入と室内で発生した電波の漏えいを遮蔽する部屋です。
電波を使用した機器が多く使用されるようになり、機器の電波測定をする場合、外来の電波干渉を無視出来なくなっており、必要となるアイテムです。

シールドボックス

シールドボックスとは、機能はシールドルームと同じで、小型化された電波の遮蔽箱です。
試験品がシールドルームを使用する程大きなものでない場合に使用されます。
試験品サイズによりさまざまな種類のシールドボックスがあります。